離乳食は咀嚼の練習期間
赤ちゃんは生まれてくると哺乳反射という本能で母乳やミルクを飲みます。この動作は本能的に行われるもので、赤ちゃんの意思というよりは身体に備わっている機能です。その哺乳反射は生後5か月頃になると徐々になくなっていきます。ちょうどこの時期に始まるのが離乳食です。食事は自分の意思で口を開けて食べ物を噛んで飲み込まなくてはいけません。これは赤ちゃんにとっては新しい経験で、今まではごくごくと飲み込んでいただけだったのが、食べ物は噛んでから飲み込まなくてはいけません。離乳食の時期は赤ちゃんが食べ物を噛むことに慣れる期間であるとも言えます。
消化吸収に役立つ働き
食べ物が口に入った時に噛むことで口の中から唾液が分泌されます。そして唾液と混ざった食べ物が胃の中に入るとそこで別の消化液がでます。消化液は咀嚼することで分泌が促進されます。食べ物を丸のみすると身体に悪いとされるのは、こういった理由で食べ物が身体の中で分解されないことで胃腸に負担をかけてしまうからです。しっかりと噛むことで食べ物が小さくなりそれも食べ物の分解を助けます。それ以外にもよく噛むことで口の中の衛生を保つという働きもあります。唾液がたくさん出ることで口の中に残っている食べカスを取り除く作用もあるからです。
正しい歯並びにとって必要
もうひとつ重要なことは咀嚼することであごが鍛えられるということです。離乳食の時期にあごを使うことであごが発達し、歯並びを適切に整えられます。よく噛まない習慣のある子どもはあごが発達しにくく細くなってしまいます。そのことで歯が入りきらずに歯並びが悪くなってしまいます。乳歯は小さい歯なので全て綺麗に入ることが多いのですが、歯が生え換わる時に新しく生えてくる歯が入る隙間がない子が増えています。これは柔らかい食べ物が多くなって、食べ物を噛むことが少なくなったからだと言われています。歯並びをよくするためにはよく噛むことが大切です。
脳にも良い影響を与える
さらに咀嚼する刺激は脳にもつながっています。あごを動かして力を入れて噛むことが、脳にとってもよい刺激となり脳の発達を促すことがわかってきました。高齢になっても自分の歯でしっかりと噛むことが認知症予防につながるとされているのはこのためです。またあごや歯の病気で噛むことができなくなった人は精神的なストレスが出ることもわかっていて、噛むことでストレスの解消をしているという側面もあります。子どもの時の咀嚼する習慣は大人になってからも残るので、離乳食の時期にしっかりと噛む習慣をつけておくことが大切です。